羽島ボーカルアカデミー ボイストレーニング
4.ボイストレーナーの選び方
すで浸透している「ボイストレーナー」という職業ですが、実は2種類のボイストレーナーがいるという事をご存知でしょうか。
この2つを、「ソングディレクター」と「ボイストレーナー」と分類するとわかりやすいと思います。違いですが、ソングディレクターは、決められた歌を歌手にいかに上手く歌わせるかという仕事。「ここにこんなブレスを入れて」とか「ここはこうした語尾にしましょう」とか「サビに向かう前、呼吸を一旦止めて、一気にサビを歌い上げましょう」など、歌の演出家と言えるでしょう。
それに対してボイストレーナーは、声帯の状態を分析し、管理し、トレーニングによって進化させます。「最近、声が出しにくくなった」とか「昔より高音が出なくなってしまった」とか、「2時間のステージが昔より疲れ、声がキープできなくなった、どうしたらいいだろう」など、ボーカリストが持つ悩みや疑問を、音楽的に、身体的に解決してゆくのが仕事です。この2つの立場、互いに相入れない部分がポイントポイントで出てきます。
例えばベルト唱法。地声を張り上げて高音を出す歌唱法です。サビの頭とか、その楽曲の一番印象的な箇所を、より印象づけたい時に使うと効果的なテクニックです。なんといっても体からふり絞るようなアクションで高音を絞り出す姿は、ボーカリストの聴かせどころ。なので、ソングディレクターはこのような状況で、ベルト唱法を使う指導をすることが多くあります。
ところがボイストレーナーからすると、「なんて危ないことをするんだ」ということになります。高い音をものすごい風圧で歌えば、声帯を壊すのは時間の問題。確かにそういった歌唱法を得意とするほとんどの歌手が声帯にポリープを作り、除去するために声帯の手術をしています。
もしあなたがトレーナーについて歌を学びたいと考えた場合、そのトレーナーがどちらのタイプなのか、見分ける必要があります。
それでは私の立ち位置は?
私はボイストレーナーです。声帯を安全に守りながら、高音を伸ばし、低音を広げ、歌手の歌唱技術を根本的に伸ばすことが、ボイストレーナーの仕事だと考えています。
これまでボイストレーナーとして、延数千人のトレーニングを行なってきました。
今回は、数10年前から現在まで、最も多いボーカリストの3つの悩みについて、自分でできる解消方法を掲載します。
ボーカリストにとっては、「なーんだ、そんなことだったのか」と得心し、少しでも喉に関するストレスから解放されていただければ何よりです。
また、ボーカリストと対峙するスタッフやミュージシャンの方々、PAの方々が、多くのボーカリストが抱える悩みを知っておいていただければ、さまざまな現場で対処がしやすくなるのではないでしょうか。